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ファンルース:お前か。ティシェはいないのか。エマも見当たらないが。
マルセル:ティシェはお母さんが引っ張っていきました。
ファンルース:お前は?
マルセル:お母さんに、ここにいろ、と眼力で伝えられた気がして……。お母さんは私の事を知らないと思っていたのに。
ファンルース:あまり「母」を甘く見るものじゃない。
マルセル:…………。
ファンルース:…………。
マルセル:…………。
ファンルース:どうした。
マルセル:別に……。
ファンルース:当ててみようか。俺たちには、一緒に過ごした時間がほとんどない。だから、話のタネがない。そう思っているんだろう。
マルセル:事実だから。
ファンルース:確かに、過去はそうだ。では、未来はどうだ。
マルセル:未来……?
ファンルース:お前は俺と会ったこの後に消えてしまうのか? 違うだろう。これからもずっとティシェと共にいるのだろう。つまり、俺たちともずっと一緒なのだろう。
マルセル:…………。
ファンルース:ならば、これからの事を話そう。
マルセル:……はい。
ファンルース:提案したいんだが。
マルセル:何を、お父さん?
ファンルース:お前のその姿、精神体とでも呼べばいいのか。ここでなら実体になれるんじゃないのか。なって、抱っこさせてくれ。
マルセル:! 突然、何を言い出すの!
ファンルース:なんだ、娘とスキンシップしたいという父親の切なる願いを断るのか。
マルセル:そ、それは……。
ファンルース:そんな冷たい娘じゃないだろう、マルセルは。
マルセル:……お父さん、いつもとキャラが違う。
ファンルース:何も違わないさ。さあ、おいで。
「マルセル」
「……何?」
「大きくなったな」
…………。
…………。
…………。
ル・ティシェ:知らない、と思ってた。
母者:母さんを甘く見ちゃいけん。
ル・ティシェ:はい。
母者:後で合流するかね。顔ぐらい見たか。
ル・ティシェ:それなら最初から。
母者:あんたらのごつ父親大好きな娘っ子には、母親は煙たいもんやろが。
ル・ティシェ:……昔は。
母者:そやろ。
ル・ティシェ:でも、今は違う。あなたは、私の大切なお母さん。
母者:なんね、突然。
ル・ティシェ:お母さん。久しぶりに耳掻きをしてください。
母者:ええよ。何年ぶりやろね。
ル・ティシェ:……お母さん。
母者:なんね。
ル・ティシェ:聞いた事がないから聞かせて下さい。お父さんと初めて会った日の事。
母者:話した事なかったかね?
ル・ティシェ:多分、昔は私が聞きたがらなかった。
母者:そうやったかもね。
ル・ティシェ:はい。
母者:あれは春野菜の頃やったね……。
今後はなろうで。
この記事に対するコメント
ちょっとうるうるきました。最近涙腺が弛いQ!です(
ことストイックに、ひたむきに進んできたこの人(達)だからこそ、
ちょっとだけその襟を緩める場面に暖かさが感じられるんだと思います。
へへっ…皆良い顔してくれちゃってよ…(何を見ているんだ
次も親子ですのでよろしく(
次の親子は全然暖かくないですが。
この一瞬の為に、これまで更新してきた、というのパーフェクトなウソ。
でも続けたからこそ、それぞれにそれぞれの事情という深みみたいなものを与えられたのかもしれません。
それでは!