ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
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フレスラウ事変 V


ファンルース様が……!







 ――ヒルデ。

 寸劇をやるよ。

 今回は、私も出るよ。












…………。


…………。


…………。












「海の見える丘」――


ラインマイア:お嬢様……?








ヒルデ:…………。


ラインマイア:これは、いったい……。


ヒルデ:……ジークフリート・ラインマイア。露払いせよ。「湖の処女」と三星公の道中である。


ラインマイア:は、はっ……! どちらへ、向かわれますか?








ヒルデ:旧市街。ブールカルト候エーリヒの館。












…………。


…………。


…………。












ブールカルト候の居館――


ブールカルト候:レードゥル殿。呼び立てて済まぬ。


レードゥル:火急の様子ですが。いったい。


ブールカルト候:ヒルデが、来る。


レードゥル:ほう……?


ブールカルト候:「湖の処女」との道中、らしい。


レードゥル:「湖の処女」? あの方が、ブールカルトに……?


ブールカルト候:容易ならぬ事態が起こっている――。








ヒルデ:三星公ヒルデ・ノヴァリスである。そして、こちらにおわすは至上の方――。


ブールカルト候:!


レードゥル:!


ヒルデ:唯一女神様よりお言葉がある。心して聞け。


ブールカルト候:ハハッ!


レードゥル:はっ。


セイル:……お前、あの男の知り合いじゃなかったかよ?








レードゥル:……私、でしょうか?


ヒルデ:はい。この者、ディーター・レードゥルはウォルフラム・ファンルースの知己でございました。


レードゥル:ファンルース? いったい、何が……。


セイル:そのファンルースって男は死んだよ。


レードゥル:! ヒ、ヒルデ! いや、三星公。今の……。


ヒルデ:先生。事実です。ファンルース様は亡くなられました。


ブールカルト候:その男は、ヒルデの使いでここに来た事が……。


ヒルデ:はい。


レードゥル:何があったのだ……。








セイル:フレスラウとかいう街の領主からヒルデに当てた訴状を届けようとした使者が、どこのどいつかに襲われて死んで、その男を看取ったファンルースって男も巻き添えで殺された、って話だよ。


レードゥル:むぅ……。


ブールカルト候:…………。


セイル:ファンルースという男は、ヒルデの友人だったそうじゃないかよ。かわいそうなヒルデ。ヒルデの嘆きが私の怒りに火を付けたよ。


ヒルデ:…………。


セイル:五候の街を滅ぼしてやろう、と思ったんだけどよ。


ブールカルト候:!


レードゥル:!


セイル:お前はヒルデの伯父だそうじゃないかよ。さすがにそういう人間が治める街を滅ぼすのは、私も気が引けるよ。ならば、他の四つの街を、とも考えたけど、それはそれで随分と乱暴な話じゃないかよ。まるで、行きずりの男を問答無用で殺めたお前たちみたいじゃないかよ。


ブールカルト候:…………。








セイル:よって、今回は特別に警告で済ませるよ――。







見よや、神雷!

























レードゥル:い、今のは……!?


セイル:五候の街全てに我が怒りの雷をひらめかせたよ。降らせたら民草に迷惑だから、今回はひらめかせただけにしておいたよ。次は、容赦なく降らせるよ。


ブールカルト候:は……。


セイル:ヒルデ。もっとやるかよ?


ヒルデ:……いえ。


セイル:私の愛しのヒルデは、これ以上の懲罰を望まないそうだよ。感謝するんだよ。じゃ、私はそろそろ帰るよ。――ヒルデの伯父。


ブールカルト候:はっ。


セイル:お前たちの敷く「選帝制」について、私はとやかく言わないけどよ。もう少し、穏当にしなよ。さもないと、今回のような事が再び起きるよ。


ブールカルト候:肝に銘じます。








セイル:…………(頼まれた事とは、少し違ったけど、これぐらいで勘弁してくれるかよ……?)。







 残され星のものがたり 第203話 「フレスラウ事変 V」 終

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