ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< フレスラウ事変 III | main | フレスラウ事変 V >>

フレスラウ事変 IV

リューリ湖 墜ちた城――――


セイル:おい。お前。

ファンルース:……ああ。この声は、湖のお人か。


セイル:お前、ヒルデの知り合いの、なんとか、って男だったかよ。


ファンルース:ええ。


セイル:私を呼んだかよ?


ファンルース:……声に、出してみるものだ。まさか、届くとは思っていませんでしたが。


セイル:どうしたよ、そのざまは。


ファンルース:つまらない事に、巻き込まれましたよ。


セイル:そうかよ。ところで、お前。多分、わかってると思うけどよ。








ファンルース:……ええ。死にますよ。


セイル:何か言い残す事があるなら聞いておくけどよ。


ファンルース:懐に、訴状があります。フレスラウ候から、ノヴァリス嬢に当てたものだ。


セイル:訴状……?


ファンルース:選帝侯たちの横暴を訴えたものです。なんとかという重臣が暗殺されたとか、そんな話です。


セイル:お前が訴状を届けるように頼まれたのかよ?


ファンルース:……いいえ。訴状の配達人が襲われ、その男を看取った俺も襲われ、という流れですよ。


セイル:それをヒルデに届けたらいいのかよ?


ファンルース:……いや。面倒な事になっているようです。届けるかどうかは、あなたにお任せする。


セイル:あいよ。


ファンルース:それから――。


セイル:それから?








ファンルース:……ろくな死に方は、しないだろう、と思ってはいましたがね。こんな死に方は、さすがに予想していなかった。


セイル:…………。


ファンルース:死んでも死にきれない、というやつですよ。


セイル:わかったよ。お前をそんな目に遭わせた奴には、必ず報いを受けさせてやるよ。


ファンルース:……ところが、居合わせた奴は返り討ちに――このざまだから相打ちですか――してましてね。


セイル:任せるといいよ。どこのどいつの手のものだったか、調べてやるよ。


ファンルース:それは、ありがたい。面倒でしょうが、頼みます。


セイル:あいよ。








ファンルース:では、おさらば。












…………。


…………。


…………。












サン・スーシ館――


ユスティ:お嬢様。お茶が入りました。


ヒルデ:ありがとう。


ユスティ:――あっ!?


ヒルデ:どうしました?


ユスティ:な、何、これは!


ヒルデ:セイル様!?








セイル:ヒルデ。話があるから、ちょっと付き合うんだよ。


ヒルデ:は、はい。何か、あったのですね。


セイル:あったよ。


ヒルデ:わかりました。――ユスティ、安心して。「湖の処女」は、あなたも知っているでしょう。


ユスティ:は、はい。あの、そのお姿は……?


セイル:少し前に身体を吹き飛ばされてよ。面倒だから再建してないんだよ。ヒルデ。出るよ。








ヒルデ:わかりました。ユスティ。お茶は帰ってからいただきますから。







 残され星のものがたり 第202話 「フレスラウ事変 IV」 終

残され星のものがたり | permalink | - | - |

スポンサーサイト

- | permalink | - | - |