ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
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君住む街へ VI

ファーライ邸 主の居室――


イステル:――この度は、家の者がぶしつけをいたしまして、誠に、申し訳ございません。

ヒルデ:全くですよ。私はあなたを見損なっていたのかもしれませんね。


イステル:…………。


ヒルデ:あの可愛いイズも、いずれあなたのようになるのでしょうかね。


イステル:…………。


ヒルデ:なるでしょうね。あなたのような母親と、しつけのなっていない家の者に囲まれて育ち、そうならないほうがどうかしていますよ。


イステル:…………。


ヒルデ:あの可愛らしさを今まで保ってきたのは奇跡と言えるでしょうね。








イステル:……言いたい放題ね。


ヒルデ:ええ。


イステル:たとえ三星公でも、当家の事情には立ち入らないでいただきたいわね。


ヒルデ:立ち入りませんよ。ですが、一言言っておきましょう。


イステル:……どうぞ。








ヒルデ:ファーライ夫君ウィルバルト・ミュラーは我が朋友である。彼に無礼を働く者は、我に無礼を働くに同じと知れ。


イステル:!


ヒルデ:我は、我を侮る者を、決して許さぬ。


イステル:…………。


ヒルデ:それだけです。


イステル:…………。


ヒルデ:では、おいとましましょうか。


イステル:…………。








ヒルデ:……ファーライ夫人。人間のだいたいの輪郭というものは、幼き頃に決まるのだと思います。


イステル:…………。


ヒルデ:あなたも承知の通り、私は幼き頃、父母に愛されなかった。家の者からも、不義の子、と白い目で見られ続けた。


イステル:は……。


ヒルデ:その結果が、この女ですよ。元々の性分もあったのでしょうけど、居丈高で本当に憎たらしい。


イステル:いえ、それは……。


ヒルデ:だって、恩人を恫喝するのですよ。呆れますね。


イステル:…………。


ヒルデ:それでは、さようなら。








イステル:はい。三星公も御壮健で……。












…………。


…………。


…………。












リントヴルム パレ・リーゼル寄宿舎――


カミル:そっか。そうしたんだ。


ヒルデ:ええ。


カミル:そっか……。


ヒルデ:……ねえ、カミル。


カミル:なんだい?


ヒルデ:先生に、今回の事は知らせたほうがいいと思いますか?


カミル:いや。知らせないほうがいい。


ヒルデ:やはり。


カミル:うん。そして、ヒルデも、もう、関係を持つべきじゃない。








ヒルデ:……ええ。


カミル:ヒルデ。お腹、空かない?


ヒルデ:空きましたね。


カミル:食べに行こうか。


ヒルデ:ええ。








カミル:じゃあ、行こう。












…………。


…………。


…………。












ファーライ邸――


イステル:――イズ。


イズベルガ:はい。母上様。


イステル:…………。


イズベルガ:……母上様?


イステル:お茶に、しましょう。……お父様をお呼びしてきて。








イズベルガ:はい!







 残され星のものがたり 第199話 「君住む街へ VI」 終







「次は7月7日(金)に更新予定ですよ。

 またね!」

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