ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
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君住む街へ II

ブールカルト候の居館――


レードゥル:――先程、ユスティから使いがありまして。

ブールカルト候:む?


レードゥル:どうも、ヒルデが家出をしたようです。


ブールカルト候:な、何!? ど、どういう事だ、レードゥル殿。


レードゥル:……悪手をなさいました。


ブールカルト候:……私かね?


レードゥル:はい。








ブールカルト候:……シャッハか。


レードゥル:候から、筋がいい、と言われたという話を受けて、ユスティも同じような事をやってしまったようで。


ブールカルト候:…………。


レードゥル:誇り高い娘です。侮られた、と解釈したようです。


ブールカルト候:私がそんな事をするはずもない。


レードゥル:はい。しかし、解釈は相手の専権事項です。


ブールカルト候:その通りだ。レードゥル殿、ヒルデはどこに行っただろうか。心当たりは?








レードゥル:どうでしょう。この街にいなければ「黄金領」か、あるいは……。












…………。


…………。


…………。












リントヴルム パレ・リーゼル寄宿舎――


カミル:ふいー。おつかれ、おつかれ、っと。







「はい。おつかれ、おつかれ」







カミル:!








ヒルデ:なんですか。


カミル:ヒ、ヒルデ!? どうして、ここに……!?


ヒルデ:……久しぶりにパレ・リーゼルが見たくなっただけですよ。


カミル:そ、そうなんだ……。いや、でも、よく来てくれたね! 会えてうれしいよ!


ヒルデ:そうですか。








カミル:こうして話するのは六年ぶりぐらいかな。いやー、本当に、よく来てくれたね! 会いたかった!


ヒルデ:六年も経ってはいませんよ。あなた、ブールカルトに来たじゃないですか。


カミル:でも、あの時はお話は出来なかったし。いやー、ハハハハハ、それにしても、うれしい! うれしいな! ヒルデ、来てくれてありがとう!








ヒルデ:……ところで、カミル。この部屋には何も食べるものがないじゃないですか。私はお腹が減っているんです。


カミル:食べ物だったら、棚にチーズがあるけど。


ヒルデ:他は。


カミル:いや。それだけ。


ヒルデ:それだけ、って。あなた、チーズしか食べないのですか。








カミル:ここではね。出仕すればリントヴルム侯の館で食べられるから。


ヒルデ:…………。


カミル:何か、見繕ってこようか?


ヒルデ:どこで? チーズの盛り合わせなんて持ってきたら首を絞めますよ。


カミル:まさか。そろそろ夜店の立つ頃だからさ。


ヒルデ:串焼きがいいですね。


カミル:わかった。他には――。








ヒルデ:待ちなさい。熱々の串焼きを、部屋で食べる法もないでしょう。私も行きますよ。


カミル:えっ!? ヒルデが夜店に!?


ヒルデ:なんですか。こちらであなたとは没交渉でしたから知らないかもしれませんが、私は夜店にはうるさいですよ。さあ、出発。


カミル:う、うん。じゃあ、行こうか。


ヒルデ:……そうだ、カミル。


カミル:なんだい?








ヒルデ:ところで私は文無しなのです。食事は全てカミルのおごりにしてもらいますから。








カミル:もちろん!







 残され星のものがたり 第195話 「君住む街へ II」 終







「次は6月23日(金)に更新予定ですよ。

 またね!」

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