ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
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マリーエンバルト綺想 II

サン・スーシ館――


ユスティ:お嬢様。ノヴァリス卿がお越しです。

ヒルデ:来ましたか。


メルヒオール:神子殿。わかりました。


ヒルデ:聞きましょう。


メルヒオール:マリーエンバルト領の場所は、ご存じか?


ヒルデ:「黄金領」の隣でしょう。








メルヒオール:はい。つまり、マリーエンバルト領もワインの産地、という事です。そして、マリーエンバルト卿は有名なワイン愛好家です。愛好家であるばかりでなく、自ら醸造する生産者でもあります。


ヒルデ:それらの事と、私に領地を献上する事と、どう繋がるのですか。


メルヒオール:手塩に掛けた子供たちには先立たれ、もはや新たに後継者を育成するには時間が足りない。


ヒルデ:…………。


メルヒオール:しかし、手をこまねいているうちに自身が逝ってしまえば、継嗣不在で取りつぶしとなり、マリーエンバルト領は義兄上の元に返る。


ヒルデ:そうなるでしょうね。


メルヒオール:そうなると、マリーエンバルト領のワインはどうなってしまうか。








ヒルデ:どうなるでしょうね。


メルヒオール:なんといっても義兄上にはユッファーがあります。マリーエンバルト領のワインを重く見る事はないでしょうな。


ヒルデ:ふむ。


メルヒオール:それが惜しい、と。それが無念である、と。


ヒルデ:で、そこからどうして私の名前が出てくるのです。


メルヒオール:なんでも、マリーエンバルトのワインというのが、あなたの「黄金領」の流れを汲むものらしいのです。


ヒルデ:ふむ。








メルヒオール:ユッファーの醸造所に師事してこしらえたのが、マリーエンバルトのワイン、という事だそうで。


ヒルデ:その醸造所なら知っています。


メルヒオール:その縁を頼って、といったあたりですか。


ヒルデ:…………。


メルヒオール:いかがなさる……?


ヒルデ:さて。どうしますかね。ひとまずマリーエンバルト領のワインを味見してみましょうか。全てはそこからです。


メルヒオール:申し伝えましょうか。








ヒルデ:いえ。直接、行ってみますよ。












…………。


…………。


…………。












ノンネンホーフ村 ツァイス醸造所――


エマ:! み、神子様! どうしただ、突然!


ヒルデ:エマ。私の訪いが突然でなかった事がありましたか。


エマ:んー。ないな。


ヒルデ:でしょう。これからマリーエンバルト領に行くのですよ。エマ、あなたはマリーエンバルト領には行った事はありますか?


エマ:うちはないなぁ。でも、お爺はあるで。


ヒルデ:そうでしたか。マリーエンバルト卿が師事したのはあなたの祖父でしたか。







エマ:あー。マリーエンバルトのワインは、そういえばお爺が教えたんやってね。


ヒルデ:そう聞きました。


エマ:神子様。マリーエンバルトで何かあっただか?


ヒルデ:マリーエンバルト卿が、私に領地を献上する、と言ってきましてね。


エマーライン:領地を!?


ヒルデ:自分が手間暇掛けたワインを残したい、という考えらしいですが。私にはあなたたちがいますから。


エマーライン:ははぁ……。


ヒルデ:――そうだ、エマ。


エマーライン:んん?








ヒルデ:マリーエンバルト領をツァイス醸造所にあげましょうか?







 残され星のものがたり 第190話 「マリーエンバルト綺想 II」 終








「次回は5月29日(月)に更新予定です。

 またお目にかかりましょう。ごきげんよう」

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