ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
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マリーエンバルト綺想 I

「海の見える丘」――


デジデリア:あら、ヒルデ。どこかおでかけ?

ヒルデ:…………。


アウエ:…………。


デジデリア:な、何よ。


ヒルデ:アウエ。


アウエ:は、はい。








ヒルデ:なんという醜態。


デジデリア:何が醜態よ!


アウエ:恐れ入ります……。


ヒルデ:全く――ユスティ、ユスティ。


ユスティ:――お嬢様? あら、デジレ様。


ヒルデ:この恥知らずどもにお茶を出してあげなさい。


ユスティ:フフ。はい、わかりました。








デジデリア:あら……。ヒルデ、あなたはどこに行くの……?


ヒルデ:ノヴァリス家まで。野暮用がありましてね。


アウエ:お嬢様。例の、マリーエンバルト家のお話、ですわね。


ヒルデ:ええ。やはり、こういう事はあの男に聞くのがいいでしょう。では、行ってきますよ。


ユスティ:いってらっしゃいませ。


アウエ:お気を付けて。


デジデリア:――トリスタン様。マリーエンバルト家、って?


アウエ:デジレ様はマリーエンバルト家をご存じでして?


デジデリア:貴人位階二位の? 名前だけなら。


アウエ:マリーエンバルト家の当主からお嬢様に、領地の献上願いが届いているのです。


デジデリア:えっ……!








ユスティ:トリスタン。それ以上は中で。












…………。


…………。


…………。












貴人街 ノヴァリス邸――


ヒルデ:お邪魔してますよ。


メルヒオール:み、神子殿! いつの間に……!?


ヒルデ:私はあなたの家の者が嫌いですからね。顔を合わさないよう、忍び込ませてもらいましたよ。


メルヒオール:…………。


ヒルデ:ああ。警護の者を責めないよう。私がその気になれば、あなたの家の者の目をかすめるぐらい簡単な事なのですから。


メルヒオール:そう、でしょうな。して、今日は……?


ヒルデ:知らせる事がひとつ。それから、返礼をいただきましょう。








メルヒオール:返礼、とは……?


ヒルデ:順番にいきましょう。養子の件は伯父様にお話ししておきました。了解を取り付けましたので、後はあなたのやる事です。


メルヒオール:おお。かたじけない。


ヒルデ:では、返礼を。


メルヒオール:その事、でしたか。








ヒルデ:そうです。――あなた、マリーエンバルト卿は知ってますか。


メルヒオール:マリーエンバルト卿、ですか。位階二位の。


ヒルデ:そう。どんな人物ですか。


メルヒオール:どんな……。


ヒルデ:…………。


メルヒオール:神子殿。何故、と伺ってもよろしいか。いえ、お尋ねの事情がわかれば、より的確な答えをお返し出来ると思うのだが。


ヒルデ:確かに。あなたの言う通りですよ。マリーエンバルト卿から、彼の領地を私に献上したい、という申し出があったのです。


メルヒオール:ほう。


ヒルデ:不審です。








メルヒオール:確か、マリーエンバルト卿は、もう何年も伏せっていたはずですが。


ヒルデ:ええ。いよいよいけないようですよ。


メルヒオール:継嗣は、ありましたかな。


ヒルデ:いない、そうです。全員に先立たれた、とか。


メルヒオール:ふむ……。


ヒルデ:あなたのように養子を取れば済む事だと思うのですが、執拗に献上を望むのです。どう考えます?


メルヒオール:……お時間を、少しいただけますか。


ヒルデ:ええ。さすがに貴人位階第二位ともなると、なかなか私の家の者では調べにくくて。









メルヒオール:二日、でご報告申し上げます。







 残され星のものがたり 第189話 「マリーエンバルト綺想 I」 終







「次の更新は5月26日(金)よ。

 いいわね、きっと来るのよ!」

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