ECO家の一族 クローバーワールドの片隅に生きる、とある一族のお話。
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<< 次は無事には済まない | main | 2006.02.06 Monday 21:48 - >>

より嫌いなのは


ヒルデ:どういう事、です。

メルヒオール:世上では、フォン・ブールカルトはあなたに譲られるであろう、と言われている。


ヒルデ:…………。


メルヒオール:義兄上には継嗣がおられぬ。私もそうなるであろう、と考えている。ユッファーがあなたのものとなった時は、いよいよの表明、とも思った。


ヒルデ:あれは返しましたよ。


メルヒオール:そう。渡した、と思いきや、即座の返上をお認めになる。ノヴァリスには事態がつかめていない。


ヒルデ:…………。








メルヒオール:そして、事態がつかめていない以上、ノヴァリスにはあなたを差し置いての行動は許されない。そうこうするうちに私が逝けば、継嗣不在でノヴァリスは取りつぶしとなろう。


ヒルデ:建国以来の名家を、そんな簡単につぶしますか。


メルヒオール:義兄上のあなたへの愛情。他家への示威。十分にある事、と考えている。








ヒルデ:……体調が優れないのですか?


メルヒオール:今のところは。だが、私も四〇を超えた。


ヒルデ:伯父様は五〇ですよ。


メルヒオール:義兄上にはあなたがいる。私にはあなたは、いない。


ヒルデ:大切に扱っておけばよかったですね。選帝侯の家の女を迎えたというのに、あまりにもあなたは軽率でしたよ。


メルヒオール:そう思う。だが、過ぎた時は戻らぬ。


ヒルデ:養子の心当たりはあるのですか。それは、まあ、あるでしょうが。外でまき散らした子種の数も、一〇〇や二〇〇ではないでしょうし。








メルヒオール:あいにくと淡泊なほうだ。男子が一人。


ヒルデ:男子。わかりました。伯父様には私から言上しておきましょう。さあ、帰って。


メルヒオール:む……。


ヒルデ:安心しろ、と言われてもなかなか信じ難いでしょうが、悪いようにはしません。私はあなたもあの女も大嫌いですが、比べてより嫌いなのはあの女ですから。


メルヒオール:…………。








ヒルデ:誰の種かもはっきりしないような娘に愛情を持てない、というのは理解出来ない話でもない、という事です。それを私が納得するかは、また別ですが。さあ、お引き取りを。







 残され星のものがたり 第188話 「より嫌いなのは」 終







「次回は5月22日(月)に更新予定です。

 またお目にかかりましょう。ごきげんよう」

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